青洲の里 活動日誌

亡くなった後も続く縁、つながる縁 『ご家族の介護手記に寄せて』  

2023-10-05 03:28:59 テーマ:スタッフブログ

スタッフブログ No.175

「これはうちの施設のことじゃない?名前見て、誰の家族かわかる?」

事務長から聞かれたのは今年の1月。西日本新聞の投稿欄に寄稿された記事を

当時の事務長補佐が見つけてきた時のことでした。

名前を見て、すぐにどなたの家族か思い出せました。

現場の介護職員の苦労を労うような内容に嬉しくなり、

こちらから連絡してお礼を伝えさせていただきました。

ご本人は青洲の里でリハビリをして、2回、自宅に帰りましたが、

最終的には自宅が難しくなり施設で看取った方でした。もう6年前のことです。

そして先日、改めてご連絡をいただき、内容を伺うと

「母の介護体験を本(文芸社:母に寄り添って)にまとめたので、是非、青洲の里に持って行きたい。」というものでした。

今年はご本人の7回忌となる節目の年、とのことでした。

ご本人は失語症をお持ちでしたが、いつも笑顔で「ありがとう」が口癖の方でした。

内容を拝読させていただくと、ご家族から伺っていたご本人の歴史、

しっかりしているがやさしい人柄、介護に至る経緯などが、

より詳細に書かれており、ご本人にもう一度出会えた様な感覚と、

ご家族がご本人をみる眼差しを感じ、感慨深くなりました。

ご家族が介護者として、ご本人の立場や想いに目を向けた表現が多く、

その丁寧さにも感動しました。

同時に、家族の立場からみた介護体験についても知ることができました。

帰宅すると本人が倒れており、救急車を呼ぶか迷う場面、

転倒や急変でいつ施設から連絡が入るかわからない心配、

県外にいる時に入院の連絡が入ったエピソードなど、

明るくユーモアを持って書かれていましたが、日常的に介護をすること、

要介護者と共に生きることについての現実を感じ取れました。

特に、看取りとなった月の日々の記録は、寄り添い、

ただ見守ることの難しさやご家族の揺れ動く心情、

支援者(職員)の一声がご家族にどう響くか、

など感じ入ることが多かったです。

今回、支援者として関わった方の介護の経緯や経過を、

ご家族の目線から追体験する貴重な経験をさせていただきました。

そして何より、亡くなってもご本人から繋がった縁が続いていること、

残された人たちの中にご本人が存在していることに、

とても心温まる気持ちになりました。

これからも、ご本人らしく生きて、

ご本人らしい最期に向かうための一助となれる様、

職員一同、支援していきたいと思います。

この様な機会をいただき、本当にありがとうございました。

これからもよろしくお願いいたします。